KINGDOM HEARTS Birth by Sleep【ゼアノートレポート編3】
ゼアノートレポート8
兄弟弟子であるエラクゥスは、光を絶対のものとして考えているが、光は闇があってこその光。我は光と闇の均衡こそが、世界を保つバランスであると考える。しかし、闇を排除しすぎた現在、世界のバランスは崩れている。現状の光の秩序を一旦崩し、闇の台頭によって、世界を再編する必要がある。
エラクゥスと意見の対立の後、世界を流浪した。少年時代に故郷を離れて以来、ようやく自由を手に入れたのかもしれない。しかし、すでにキーブレードマスターとなった自分には、これといった目的もなく、正統後継者ではない自分に残された使命は、後進の育成くらいしかなかった。
本来、キーブレードマスターとなった者は弟子を取り、キーブレード使いとしての教えを説き、次代へつないでいかなければならない。だが、我が故郷を捨ててここまで歩んだ道の最後をそれで迎えていいのだろうか?いや、未だ自分の目で確かめたいことも多いまま、静かに最期を迎えてしまっていいのか?気づけばこの肉体もすっかり老いていた。
ゼアノートレポート9
我らキーブレードマスターは特別な術を持つ。それは自らであろうが、他者であろうが心を取り出すことができるのだ。そしてこれを繰り返しさえすれば、永遠に現世に留まる事が可能である。
少年の頃、夢見た世界の果て。未だ何者もたどり着いていない世界。そう、それは誰もまだ見ぬ世界。キングダムハーツの扉を開き、新世界を創造し、光と闇が均衡する世界を完成させるのだ。
多くの知識を得、新たな目的も生まれ、残されたのはこの老いた肉体。次に為すべき事は器を探す事だった。
そしてヴェントゥスと出会い、弟子とした。彼との出会いは運命的であり、その資質も感じたが、あまりに優しすぎた。脆弱なヴェントゥスを器として使えないと判断し、もう一つの目的のために使う事にした。
ヴェントゥスの心から闇を取り出し、二つに分けるのだ。これで純粋な光の心と、純粋な闇の心が完成する。
ゼアノートレポート10
やはり、ヴェントゥスの体では心を取り出す事に耐えられず、純粋な闇の心を持つヴァニタスを生み出すことには成功したが、ヴェントゥスは眠ったままとなった。
純粋な光の心、ヴェントゥス。純粋な闇の心、ヴァニタス。
この二人を育て、いずれこの二つの心を交差させれば、χブレードが完成する。
しかし、ヴァニタスの闇の心が強大過ぎたのだ。ヴェントゥスの心は壊れ、光の心は消えかけていた。せめて安らかな場所で眠らせてやるため、脳裏に浮かんだ場所は、我が故郷であった。
そして自然と足が向き、気づけばあの時旅立ちを決意した海辺に立っていた。故郷を出て一度も戻った事はなかったが、本当に何一つ変わっていない、まるで時が止まったかのような静かな場所。ここならヴェントゥスも静かに眠れるであろうと思っていたが、眠るヴェントゥスがキーブレードをかかげたのだ。光の心はまだ消えていなかった。
ゼアノートレポート11
ヴェントゥスとヴァニタス、今はまだ光と闇のバランスが合わず、二人を同じ場所で育てる事はできない。ヴァニタスの闇が、ヴェントゥスを蝕むのだ。
光の心を育てるのに適した場所はただ一つ、それは光を絶対なものと考えるエラクゥスの元であった。
エラクゥスは我との対立を気にする事もなく、再会を喜び、ヴェントゥスの事も快く受け入れてくれた。後はヴェントゥスがエラクゥスの元で、その心を強く成長させるのを待てば良い。
久しぶりの第二の故郷ではあったが、すでにエラクゥスも二人の弟子を育てていた。そしてその一人テラの中に潜むものを感じたのだ。テラはそのやさしさゆえに力を求めている。力への執着はやがて心に闇を生む。
我が器は決まった。
ゼアノートレポート12
時は満ちた。エラクゥスから弟子のマスター承認の知らせが届いたのだ。テラとアクア…あの二人を外の世界へと誘うのは容易な事。しかし、肝心のヴェントゥスをどうするか…。
ヴァニタスはヴェントゥスの心を感じる事ができる。そのヴァニタスによれば、ヴェントゥスの鍵を握るのはテラの存在。ヴェントゥスは修行を始めて間もない頃、テラが使っていた木剣を譲り受けて以来、テラを本当の兄のように慕っているらしい。つまり、ヴェントゥスの心を揺さぶるには、テラだ。
まずテラを孤立させる必要がある。そしてその不安感をヴェントゥスに植えつけるのだ。そうすれば、弱き光は闇に向かって進む兄を追うだろう。
強き闇は光を強くし、強き光は闇を強くする。これですべてが交差し、伝説が再来するのだ。
以上です。
ゼアノート、とんでもないやつなんですが、なんか嫌いになれない。(ぽんこつエラクゥスと比べるまでもなく)めちゃくちゃ頭いいし、人間味があるというか…。
さあ、ラストエピソードはじめます!